◇弁護士 河原 誠の解決事件簿コラム

2014年7月17日 木曜日

自治会のトラブルをいきなり裁判へ?その1

 平成2×年3月、相談者はマンション自治会会長として、各戸に配布した「定期総会の案内」に自治会員の一人が退会届を提出した旨の記載をしました。
 ところが、厳密には、当該自治会員の経営する会社で使用している居室についての、会社としての自治会を脱退するという届出であった(なお、当の経営者自身、退会届を提出するまでの間にやりとりした書類の主体は個人であったり、会社であったり、主体の記載がなかったりと千差万別であった)。
 この点を当該自治会会員(経営者)は問題視し、個別に自治会長を呼び出し、「裁判をすれば100%勝訴するから100万円を持って来い」と強弁した。自治会長は、今後の自治会運営に支障をきたすと考え、拒否しました。すると、同人は、自治会での問題とすることなく、弁護士を依頼し、平成2×年6月、本当に□簡易裁判所に110万円を求める慰謝料請求の訴えを提起しました。

 当初は、相談者は、本人訴訟で対応し裁判所も調停に移行させて穏便に済ます方向で訴訟指揮をしていました。
 しかし、調停は決裂し証人尋問の可能性も生じたため、裁判所から弁護士を依頼するよう示唆があり、以前法律相談を受けた当職の所に再度相談があり、翌年2月に受任して当職が代理人として、活動することになりました。・・・つづく

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2013年12月25日 水曜日

破産免責は得たものの。

 平成13年春ころの案件でした。

 少し蓄えがあったが、会社で給料の遅配が続いたので、次の職場を決めもせずに退職したが、すぐ見つかると思っていた次の職場が見つからないまま、サラ金で生活費を借りて首が回らなくなったという依頼者の案件がありました。少し、特徴的な支出の額が多く、裁判所から問題点を指摘された案件でしたが、無事、破産者審尋、免責審尋を求められることもなく、書面審査で無事、破産決定、免責決定を得ました。
 
 預かった書類を返し法テラスへの報告を済ませて、過去の事件と意識にも上っていなかったのですが、先日、新聞を開いてびっくり。

 その依頼者が窃盗で捕まっていました。生活圏も同じで、特徴ある理由で借金が膨らんでいましたし、名字も初めて聴く名字でしたので、まず、本人に間違いありません。破産免責手続としては、スムーズに処理できていたので、問題はないのですが、やはり、依頼者が逮捕されるとやりきれない思いに苛まれます。

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2013年10月 9日 水曜日

無理な罪名(その4)結末

 いままでのブログ「無理な罪名」で、強盗致傷で勾留された方の話を書いていましたが、無事、「窃盗」で起訴され、法廷でも傷害の事実は少しさらっと出ただけで、済みました。その結果、検察官からは窃盗の相場どおりの求刑、執行猶予付判決という一般的な事件処理がなされました。よかったです。

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2013年9月 4日 水曜日

無理な罪名(その3)

次に考えるのは、「人を負傷させた」とはどういう行動をいうのか?です。

本件の場合、事後強盗ですから、その暴行は「逮捕を免れるため」という目的を持った行動である必要があります。
 彼は、逮捕を免れるため、一所懸命に自転車を漕いでいました。これが、逮捕を免れる為の暴行といえるのでしょうか?「暴行」といえるためには、やはり、相手に向けてなされる必要があると私は考えました。例えば、逮捕を免れる為に手を振り払ったなどの場合には、怪我させるつもりが無くても、強盗致傷になります。
 しかし、本件は、逮捕を免れる為一所懸命に自転車を漕いでいる犯人に店員さんが飛びかかって一緒に転倒したというものです。
 この際に店員さんは重傷を負ってしまいましたが、犯人である彼は、店員さんが飛びかかってきた瞬間まで追いつかれていることにも気付いていなかったのです。「逃げるために自転車を漕ぐ行為」を店員さんに対する暴行といえるのか、皆さんはいかがお考えでしょう?

 私が架電して、検察官に「強盗致傷で取り調べしているが、強盗致傷で起訴するのは無理だし、もし、それで起訴すれば全面的に争うことになる」旨伝えました。もちろん、検察官もこの問題には頭を抱えておりました。電話後、後一押し、検察庁に、逮捕を免れる為の暴行はないので、強盗致傷で起訴することはできないと意見書を提出しました。

 結局、彼は、窃盗罪で起訴されました。ただ、私は本人には、「あなたが窃盗行為をしなければ、店員さんは怪我することもなかったのだ。罪名が窃盗に落ち着いたからといって、そのことが消えることはない。」と厳しく反省を迫りました。

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2013年8月30日 金曜日

無理な罪名(その2)

 強盗致傷罪とは、「強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」と規定されています(刑法240条)。
 
 法律を読むときの作法を、今回の案件に当てはめてやってみます。
 
 今回の私の依頼者が、「強盗」なのか、「人を負傷させた」のかを考えることになります。では「強盗」とは何なのか?「人を負傷させた」とは何なのか?

 「強盗」とは、脅迫や実力行使などによって他人の財物を無理矢理奪うことです。
 依頼者は、コミックスをそっと鞄に入れて店外に出ようとしたところを、警報が鳴り逃げ出したのですから、明らかに「脅迫や実力行使などによって無理矢理奪った」訳ではありません。いわゆる窃盗です。しかし、「窃盗(犯)が、財物の取り返しを防ぐため、逮捕を免れるため、または、罪証隠滅のために、暴行・脅迫をする」場合も、強盗として扱うという条文が刑法238条に規定されています。この条文にあたれば、私の依頼者も立派に「強盗」となるわけです。
 窃盗罪は、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定され(刑法235条)、有期懲役刑は、原則として1か月以上20年以下の期間が指定される(刑法12条1項)ので、最短は、1か月です。・・・強盗罪とは、短期で大きく違いますね。また、強盗致傷と認定されると法律の減軽事由を2つ重ねないと執行猶予がつけられません。なかなか執行猶予はつかない犯罪です。

 弁護人としては、出来るだけ窃盗での起訴、裁判を求めたいところなのです。

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