◇弁護士 河原 誠の解決事件簿コラム

2013年9月 4日 水曜日

無理な罪名(その3)

次に考えるのは、「人を負傷させた」とはどういう行動をいうのか?です。

本件の場合、事後強盗ですから、その暴行は「逮捕を免れるため」という目的を持った行動である必要があります。
 彼は、逮捕を免れるため、一所懸命に自転車を漕いでいました。これが、逮捕を免れる為の暴行といえるのでしょうか?「暴行」といえるためには、やはり、相手に向けてなされる必要があると私は考えました。例えば、逮捕を免れる為に手を振り払ったなどの場合には、怪我させるつもりが無くても、強盗致傷になります。
 しかし、本件は、逮捕を免れる為一所懸命に自転車を漕いでいる犯人に店員さんが飛びかかって一緒に転倒したというものです。
 この際に店員さんは重傷を負ってしまいましたが、犯人である彼は、店員さんが飛びかかってきた瞬間まで追いつかれていることにも気付いていなかったのです。「逃げるために自転車を漕ぐ行為」を店員さんに対する暴行といえるのか、皆さんはいかがお考えでしょう?

 私が架電して、検察官に「強盗致傷で取り調べしているが、強盗致傷で起訴するのは無理だし、もし、それで起訴すれば全面的に争うことになる」旨伝えました。もちろん、検察官もこの問題には頭を抱えておりました。電話後、後一押し、検察庁に、逮捕を免れる為の暴行はないので、強盗致傷で起訴することはできないと意見書を提出しました。

 結局、彼は、窃盗罪で起訴されました。ただ、私は本人には、「あなたが窃盗行為をしなければ、店員さんは怪我することもなかったのだ。罪名が窃盗に落ち着いたからといって、そのことが消えることはない。」と厳しく反省を迫りました。

投稿者 河原 誠 | 記事URL


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