賃貸借契約を解除できる要件とトラブル防止のポイント
賃貸物件を貸しているオーナーにとって、借主との契約解除は慎重に進める必要があります。
安易な契約解除は、法的トラブルや損害賠償請求につながるおそれがあるためです。
今回は、オーナー側が賃貸借契約を解除できる要件と、トラブルを防ぐための実務上のポイントを解説します。
賃貸借契約を解除できる主な要件
賃貸借契約は、原則として契約期間中に一方的に解除することはできません。
しかし一定の条件を満たす場合には契約を解除できる場合があります。
賃料の滞納
借主が長期間にわたり賃料を支払わない場合、契約解除の理由になり得ます。
一般的には、1〜2か月程度の滞納では解除が認められません。
しかし数か月にわたる滞納や繰り返し滞納が続く場合には、信頼関係の破壊とみなされる可能性が高まります。
契約違反行為
契約書に定められた禁止事項を守らない場合、解除が認められることがあります。
例としては以下のような行為が挙げられます。
- 無断で第三者に転貸する
- 用法違反(住居用物件を事務所として使用するなど)
- 近隣への迷惑行為(騒音や悪臭など)
契約違反行為をしている事実が明確に認められるかどうかが重要です。
目的物の重大な損傷や破壊
借主の故意や重大な過失により物件に大きな損害が発生した場合は、契約解除の理由になり得ます。
ただし、自然損耗や経年劣化は含まれません。
災害などによる使用不能
地震や火災、水害などの災害によって物件が大きく損壊し、使用が困難になった場合も、契約解除になります。
借主の責任による損害ではなくても、目的物が契約の趣旨に沿って利用できない状況であれば、契約継続が困難と判断されます。
トラブルを防ぐためのポイント
契約解除は借主との関係を大きく損なう可能性もあるため、事前にトラブルを防ぐ工夫が重要です。
契約書の内容を明確にする
賃貸借契約書には、禁止事項や契約解除事由を具体的に記載してください。
あいまいな表現は、後のトラブルの原因となります。
入居時の状況確認
入居前に物件の状態を記録し、双方で確認しておくことが大切です。
写真やチェックリストを利用すれば、後の損傷トラブルを防ぎやすくなります。
定期的なコミュニケーション
借主との連絡を定期的に取り、状況を把握することで、問題の早期発見につながります。
小さな問題でも早めに対応すれば、深刻な契約違反を防ぎやすくなります。
賃料滞納への早期対応
滞納が発生した場合には、すぐに連絡を取り、支払計画を確認するのが重要です。
対応が遅れると、滞納額が増え、解決が難しくなる場合があります。
まとめ
賃貸借契約を解除するには、賃料滞納や重大な契約違反などの要件を満たす必要があります。
契約書の明確化や入居時の確認、早期の問題対応などの予防策を取ることで、トラブルを回避できる可能性が高まります。
オーナーとしては、法的根拠を踏まえた慎重な判断と、日頃の管理体制が重要です。
不安な点があれば、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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河原 誠Makoto Kawahara
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- 所属団体
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- 大阪弁護士会 子どもの権利委員会
- 大阪弁護士会 法律援助事業・日本司法支援センター対応委員会 委員(少年担当)
- 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 当番弁護士・委員会派遣事業審査担当
- 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 刑事弁護援助金審査担当
- 大阪弁護士会 紛議調停委員会
- 大阪弁護士会 市民窓口担当員
- 社会福祉法人みおつくし福祉会 弘済のぞみ園、同みらい園 第三者委員
- 芦屋市 市長等倫理審査会(2012年4月~2022年3月)
- 大阪家庭裁判所 家事調停委員 (堺支部担当)
- 法務省法制局 大阪少年鑑別所視察委員会(2021年4月~2024年3月)
- 経歴
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- 1986年(昭和61年) 関西大学法学部卒業
- 1993年(平成5年) 司法試験合格
- 1994年(平成6年) 最高裁判所司法研修所
- 1996年(平成8年) 弁護士登録(修習48期)。木村法律事務所就職
- 2002年(平成14年) 事務所設立