河原 誠法律事務所 > ブログ > ◆刑事事件 > 無理な罪名(その2)

無理な罪名(その2)

 強盗致傷罪とは、「強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」と規定されています(刑法240条)。
 
 法律を読むときの作法を、今回の案件に当てはめてやってみます。
 
 今回の私の依頼者が、「強盗」なのか、「人を負傷させた」のかを考えることになります。では「強盗」とは何なのか?「人を負傷させた」とは何なのか?

 「強盗」とは、脅迫や実力行使などによって他人の財物を無理矢理奪うことです。
 依頼者は、コミックスをそっと鞄に入れて店外に出ようとしたところを、警報が鳴り逃げ出したのですから、明らかに「脅迫や実力行使などによって無理矢理奪った」訳ではありません。いわゆる窃盗です。しかし、「窃盗(犯)が、財物の取り返しを防ぐため、逮捕を免れるため、または、罪証隠滅のために、暴行・脅迫をする」場合も、強盗として扱うという条文が刑法238条に規定されています。この条文にあたれば、私の依頼者も立派に「強盗」となるわけです。
 窃盗罪は、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と規定され(刑法235条)、有期懲役刑は、原則として1か月以上20年以下の期間が指定される(刑法12条1項)ので、最短は、1か月です。・・・強盗罪とは、短期で大きく違いますね。また、強盗致傷と認定されると法律の減軽事由を2つ重ねないと執行猶予がつけられません。なかなか執行猶予はつかない犯罪です。

 弁護人としては、出来るだけ窃盗での起訴、裁判を求めたいところなのです。

よく検索されるキーワード

Search Keyword

資格者紹介

Staff

河原 誠先生の写真

河原 誠Makoto Kawahara

私は、大阪市、芦屋市、西宮市、神戸市を中心に「クライアントの皆様と一緒に悩み考え、クライアントの皆様にじっくりとご説明し、結論に納得していただくためにオーダーメイドの事件処理をする」をモットーに幅広い法律問題に対応しています。
ご依頼者様の利益を第一に考え、早期解決のため尽力いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。

所属団体
  • 大阪弁護士会 子どもの権利委員会
  • 大阪弁護士会 法律援助事業・日本司法支援センター対応委員会 委員(少年担当)
  • 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 当番弁護士・委員会派遣事業審査担当
  • 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 刑事弁護援助金審査担当
  • 大阪弁護士会 紛議調停委員会
  • 大阪弁護士会 市民窓口担当員
  • 社会福祉法人みおつくし福祉会 弘済のぞみ園、同みらい園 第三者委員
  • 芦屋市 市長等倫理審査会(2012年4月~2022年3月)
  • 大阪家庭裁判所 家事調停委員 (堺支部担当)
  • 法務省法制局 大阪少年鑑別所視察委員会(2021年4月~2024年3月)
経歴
  • 1986年(昭和61年) 関西大学法学部卒業
  • 1993年(平成5年) 司法試験合格
  • 1994年(平成6年) 最高裁判所司法研修所
  • 1996年(平成8年) 弁護士登録(修習48期)。木村法律事務所就職
  • 2002年(平成14年) 事務所設立

事務所概要

Office Overview

名称 河原 誠法律事務所
代表者 河原 誠(かわはら まこと)
所在地 〒530-0047 大阪市北区西天満三丁目4番5号
大栄・西天満BLD.8階
連絡先 TEL:06-6362-1171/FAX:06-6362-1172
対応時間 平日9:30~18:00(事前予約で時間外対応も可能です)
定休日 土・日・祝(事前予約で休日対応も可能です)
アクセス 地下鉄谷町線「南森町」同堺筋線「北浜」
JR「大阪天満宮」
京阪電車「北浜」「なにわ橋」
上記それぞれ徒歩10分前後です。